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ギャッベの種類とランク

いろいろな種類のギャッベ

ギャッベにはランクがあるの?

ギャッベには品質によっていろいろな種類があるように見えます。でも、実はギャッベにランクは存在しません。遊牧民によって織られているギャッベには、織り目が粗いか細かいか、という違いしかないのです。

ギャッベを織り手から買い付ける時、値段はあくまで面積によって決められます。その後、仲買人や販売会社の手によって、目の細かさや毛足の質、あるいはデザインによってランク分け、種類分けされていくのです。

売り場で目にするギャッベのランクや名前は、販売会社などによって消費者向けにわかりやすくつけられているものです。企画商品もあり、ギャッベ本来のランクや名前ではありません。ただ、「カシュクリ」「アマレ」の名はもともと質の良いギャッベを織るカシュガイ族の一派の名前であることもあり、今では織りの細かいギャッベの代名詞として定着しつつあります。

普通のギャッベと細かいギャッベ

ギャッベの織りには2種類あります。ひとつは昔ながらの普通の織り、もうひとつは比較的最近織り始められた目の細かな織りです。

2つの織りの明確な違いは、2本の毛足を撚り合わせて織り込むか、1本の毛足をそのまま織り込むかという点です。2本を撚り合わせて織り込む場合は毛足にボリュームが生まれ、織り目は大きくなります。そのまま織り込む場合はひとつの織り目は小さく、細やかな表情になります。この目の細かなギャッベはいわゆる「カシュクリ」と同等で、現地では「リーズバフ(細かな織りの意)」と呼ばれ、クラフトワークでは「ファイン・ギャッベ」と表記しています。目の細かなギャッベは普通のギャッベに比べて織るのに時間がかかるため、織り手に支払う面積ごとの値段も割高になります。

意外に思われることですが、ギャッベの織り目の細かさは耐久性とは関係がありません。ギャッベは本当に丈夫なので、どちらも50年以上は使えます。

ギャッベの面白味は織り手の性格が現れるところ。同じ普通のギャッベでも、几帳面な織り手と大らかな織り手では目の現れ方が異なります。どちらが良いというものではなく、それがギャッベの個性なのです。心に響いたギャッベを手に取るときに、目の細かさは気にしなくてもいいのです。

(ファイン・ギャッベについて詳しくは→ファイン・ギャッベとは)

質の良いギャッベの見分け方

個性の強いギャッベですが、本来の耐久性を楽しむために気を付ける点はあります。

ギャッベは本来、「ダブルノット」という織り方が使われています。これは上下に重ねた2本の縦糸それぞれに毛足を絡めて縛るもので、地に厚みが生まれ、強く堅牢な織りに仕上がります。一方、最近では「シングルノット」で織られたギャッベを見かけるようになりました。これは1本ずつ平たく並べた縦糸に毛足を絡める方法で、ダブルノットに比べて手早く織ることが出来、薄くてやわらかな仕上がりになるかわりにあまり強度はありません。
この2種類の違いは絨毯の内部構造に隠れるためにわかりにくく、むしろシングルノットの方が織り目が細かく見えることもあります。

また、ギャッベの毛足の間には一段ずつ横糸が通されています。通常は2本から7本の横糸をまとめて通し、強くたたき詰めて堅牢な地織りを構成するのですが、この横糸が1本しかないギャッベも時々見られます。軽くて扱いやすい代わりに、やはり本来のギャッベの強さは望めません。

織り目や毛足に現れない構造の違いを見分けることは難しいのですが、目安の一つは「重さ」、そして「やわらかさ」です。大きさに比べて不思議なほど軽いギャッベ、土台の質感があまりにやわらかなギャッベなどは、伝統的なギャッベとは異なる可能性もあります。疑問に思うことがあれば何でもそのお店に聞いてみることをおすすめします。

インドギャッベについて

ギャッベの人気が高まるにつれ、特徴的な可愛らしいデザインは世界中に広まりました。中でもインドで織られるものは「インドギャッベ」としてよく知られるようになり、年々品質も特徴もよく似てきています。ただ、これらの絨毯はあくまでギャッベのデザインを用いたもので、ギャッベの一種ではありません。京都以外で織られた織物を「西陣織」とは呼べないのと同じ理由で、イラン南部の遊牧民、カシュガイ族が織るもののみをギャッベと呼びます。


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ギャッベとは


ギャッベの選び方と使い方


   

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