ギャッベを「発見」した人々は、見た目も性質もほかのペルシャ絨毯とあまりに違うことに驚いたといいますが、その大きな特徴のひとつは織りにあります。数多いイランの遊牧民の絨毯の中でも、ギャッベは他に類を見ないほど織り目が大きく、毛足は長く、驚くほど丈夫なのです。
必要とあらば作業の途中でもラクダに載せて運べる水平の織り機を使い、ギャッベはテントの脇で、家事の合間に手早く織られていきます。手で紡がれる太い毛足は強くしなやかで、たっぷりと詰められるために長く刈り込まれても腰のある弾力を保ちます。
テントの硬い地面にじかに敷かれるギャッベは真夏の昼にも涼しく、夜の冷気を通さずにやわらかな寝心地を与えてくれます。大自然の中での厳しい生活を支えてくれるギャッベはどんなに踏んでもへたらず、川でざぶざぶ洗ってもびくともしません。