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使い込むほど美しくなる、丈夫な敷物「キリム」

キリムの使い方イメージ。シーラーズ産の青いキリムを窓際のベンチの足元に。

キリムとは、遊牧生活で使われる毛足のない織物のこと。薄手で丈夫なキリムは踏まれるほど色も手触りも馴染みます。模様やサイズに合わせて玄関マットからダイニングの敷物まで用途もさまざま、時をかけて育てるお気に入りの一枚を日常に取り入れてみませんか?

遊牧民とキリム

生活用品としてのキリム

今でこそ、欧米をはじめ日本でもインテリアの一部として取り入れられるようになってきたキリムですが、もともとはイランやトルコの遊牧民がその生活用品として織り、自ら使っていたものでした。 旅をしながらテント生活をする遊牧民にとって、キリムは薄手で丈夫、持ち運びに便利な大切な家財道具です。敷物として、テントの壁として、赤ちゃんのゆりかごとして、食卓として、また穀物や塩、衣服の入れ物として、キリムはその生活に深く根ざした非常に便利な「家具」そのものでした。 また、大切なお客様を迎えるときには特に美しいキリムを敷いてもてなすなど、その色彩と模様で生活に華を添える美しい飾りとしての役割も担っていました。

キリムは大切な財産

一方、キリムは彼らの大切な財産でもあります。遊牧民にとって、その家畜は金や宝石と同等に価値を持つものであり、その家畜、すなわちヤギやヒツジの毛から織り上げるキリムも同じく価値を持つものでした。貨幣経済が始まる前はキャラバンが物々交換に使用した重要な商材であり、その後も、必要な時には穀物と交換したり、お金に買えて必要なものを購入できるいわば貯金のような役割もはたしたのです。現在も遊牧民の娘が結婚する際には、その持参金として自ら織ったキリムを婚家へ持っていくのが慣わしとなっています。

母から娘へ

キリムの織り方は、母から娘へと伝えられてゆきます。その部族の特徴が色濃く現れるキリムの模様や織り方は、代々部族の中で母から娘へ受け継がれていく、その家の紋章のようなものとも言えるでしょう。編隊を組んで旅をしていても、一人でロバに乗っていても、その人の身の回りのキリムの色模様で遠目にもどの部族に属するのかわかるといわれています。

自然環境に左右されるキリムの特徴

このキリムの部族ごとの特徴は、キリムの素材があくまでその地域に自然に存在するものに限られる、という地域性も大いにかかわっています。特に色合いなどは、その土地土地で見られる植物で染色されるので、その染色方法も含め、部族ごとに違ったものとなります。イラン東部とアフガニスタンにまたがって遊牧するバルーチ族などは染色材料がほとんど手に入らない砂漠で生活している為に、動物の毛そのものの色を美しい配色に織り上げる高度なセンスを身に付けたといいますから、キリムの美は実にその自然の中から生み出されるものなんだ、と感じずにはいられません。


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