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クラフトワークのペルシャ絨毯:直輸入と厳格な検品で選ぶ一枚

ペルシャ絨毯の種類

手織ラグの店クラフトワーク

ペルシャ絨毯の種類

ペルシャ絨毯の種類は、想像以上に幅広い——。高級な芸術品のイメージがあるペルシャ絨毯ですが、産地や織り手によってその種類は実にさまざま。 色柄はもちろん使い心地や価格帯まで大きく変わり、用途や好みに合わせて選ぶことができます。

このページでは、次の“6つの視点”で種類を整理し、違いと選び方のポイントをわかりやすくご案内します。

織り手|工房織りと家庭織り(部族絨毯)

ペルシャ絨毯は、もともと遊牧民や村で生活道具として織られ、その後都市の工房により織り継がれ、洗練、発展してゆきました。今日のペルシャ絨毯は「家庭織り(部族・村)」と「工房織り(都市)」とに大別されます。工房はデザイナーの下絵をもとに精緻に、家庭織りは土地や部族の感性を映して一点ごとに個性豊かに仕上がります。

工房織り(都市の絨毯)の特長

デザイナーの下絵に忠実に、上質な素材を使用して高密度に織り上げられます。宮廷・輸出向けの伝統を受け継ぐ、端正で洗練された美しさが魅力です。 (例:タブリーズ・イスファハーン・ナイン・カシャーンなど。)

家庭織り(部族絨毯)の特長

身近な自然や暮らしを映す素朴で伸びやかな意匠が持ち味。基本的に一点もので、ユニークな色模様が多い。種類により、価格はさまざま。(ゴルトゥーグ、サルーグ、シーラーズなど。ギャッベもこの種類に含まれます。)

購入時のポイント

工房織りは織り目の密度が品質の目安となります。(ただし見極めは困難、迷ったら販売店に相談するのが早道です。)一方、家庭織りでは結び目びよりも、色彩の妙や毛並みの手触り、生き生きとした文様の魅力を大切にします。

素材|ウール/シルクの違い

ペルシャ絨毯の素材には、ウールとシルクがあります。遊牧生活から生まれたウール絨毯は丈夫で実用的、日常使いに適した品揃えが豊富です。 一方、シルク絨毯は緻密で美麗、王侯貴族に愛されてきました。結び目がごく小さく織るのに非常に時間がかかるため、価格も高価になります。 なお、ウールの毛足にシルクを織り交ぜたウール&シルクもありますが、これはウールの絨毯として扱われます。

購入時のポイント

敷物として日常的に使うには、厚みがあり実用的なウール絨毯がおすすめです。シルク絨毯は薄手でより鑑賞性が高く、ポイント飾りや玄関マットに適しています。

織り(その1)|ダブルノットとシングルノット

ダブルノットとシングルノットの違いは、1セットの経糸2本を厚みの方向に並べるか、横方向に並べるかの違いです。 ダブルノットでは上下に重なる2本の経糸それぞれに立体的に毛足を絡めて1つの織り目を作ります。対してシングルノットは並列した経糸に絡めた毛足がどちらも裏面に現れるため、2つの織り目があるように見えます。
このためシングルノットは織り進むのが早く、同じ手間と素材を使って、倍の面積を織ることができます。ダブルノットの方が織りの密度が高く品質的に優れますが、シングルノットの方が目が細かく見えることがあります。

ダブルノットの特長

地織り部分に厚みと重みがあり、腰のある手ごたえと強い耐久性を誇るスタンダートなペルシャ絨毯。充実した毛足の弾力がクッション性を与え、薄くてもしわになりません。

シングルノットの特長

全体にくたりとしなやかな質感で、やわらかな印象です。ダブルノットの絨毯よりも軽く、布団のように折り畳むことが出来るので扱いが楽です。より手ごろな価格帯も魅力。

購入時のポイント

シングルノットの方が全体に安価ですが、一見織り目が細かいために高い値段がついていることがあります。疑問に思ったら販売店に確認することが大切です。

ペルシャ絨毯の織りと品質について

織り(その2)|トルコ結びとペルシャ結び

トルコ結びとペルシャ結びは、経糸への毛足の絡め方が異なります。トルコ結び(=対称結び)は毛足の両方の端を経糸に絡めて出すのに対し、ペルシャ結び(=非対称結び)では片方のみが絡められます。 どちらが用いられるかは地方や織りの系統により、トルコ結びはイラン北西部に、ペルシャ結びはイラン中東部の絨毯で主に見られます。
ペルシャ結びはしばしシングルノットと混同されますが、これらは全く別のものであり、結びの違いは品質の優劣とは無関係です。(余談ですが、トルコ結びはトルコの国とは関係なく、ペルシャ結びは別名セネ織りと呼ばれながらも、セネの絨毯はトルコ結びです。)

トルコ結びの特長

厚みのある、均一で強い毛並みが特徴。細かい文様の表現には少し制約がありますが、非常に丈夫で耐久性に優れます。主な産地は、タブリーズ、ヘリーズ、ビジャーなど。

ペルシャ結びの特長

トルコ結びのペルシャ絨毯よりもやわらかな風合い。結びを密に配置できるため、精緻な文様を得意とします。主な産地は、イスファハーン、ナイン、ケルマンなど。

ペルシャ絨毯の織りと品質について

購入時のポイント

しっかりと織られていればどちらも十分な耐久性があります。結びの違いが品質に及ぼす影響もないため、選ぶ際に特に気にすることはありません。

年代|新品とオールド(ヴィンテージ)

新品は現行作で、糸や染めが新しく発色が冴え、選択肢も多く状態が均一です。織り上がった直後は毛足に硬さがあるものの、艶や柔らかさはこれから育っていきます。 オールド(ヴィンテージ)は概ね20~50年前の手織りで、よく使われたものほど毛並みが落ち着き、色合いや手触りがまろやかに変化しています。 わずかな歪みや補修も含めて一点物の趣があり、美しく育ったものや希少性の高いものはヴィンテージと呼ばれます。 オールド(ヴィンテージ)はぼろぼろという印象を持たれることもあるようですが、仕入れ後の手入れによって新品同様の状態に整えることができ、長く使える点は新品と変わりません。

購入時のポイント

オールド絨毯の場合、補修や汚れの有無、フサや織り端の状態を確認します。端部分は擦れやすいため、しっかりとかがり直してあるものが理想です。

図案|模様の特長と産地による違い

ペルシャ絨毯の図案は大きく①中央にメダリオン+四隅(コーナー)を配する構成、②全面に同一モチーフが連続するオールオーバーの構成に分かれます。 メダリオンタイプは総じて華やかな印象を与え、図案は多彩で大輪の花々が散らばる唐草模様から幾何学的な文様、鳥や動物が散らばるものもあります。 オールオーバーの代表モチーフにはヘラティ(マヒ)やパルメット、ボテなどがあり、より落ち着いた印象です。

購入時のポイント

好みで選ぶのがおすすめですが、模様による効果もあります。枠模様の色が濃い絨毯は引き締まって見え、オールオーバー模様には空間を広く見せる効果があります。 なるべくすっきりしたい場合は、模様の少ないギャッベが一番シンプルです。

ペルシャ絨毯の産地についてもっと読む

ペルシャ絨毯の模様についてもっと読む

サイズ|用途に合わせて選ぶ

ペルシャ絨毯は伝統的に、決まったサイズで織られます。現代では正方形や円形もありますが、最も選択肢が多いのはやはり伝統サイズです。

ペルシャ絨毯のサイズ一覧

よくあるご質問(種類編)

ウールとシルクはどちらが使いやすいですか?

リビングなら断然ウールです。座り心地がよくお手入れも楽です。

部族絨毯とは何ですか?

村や各部族が織る伝統的なペルシャ絨毯です。トライバルラグとも呼ばれます。

ギャッベとペルシャ絨毯は何が違いますか?

ギャッベもペルシャ絨毯の一種ですが、際立つ特徴のためにあえて”ギャッベ”と呼ばれています。

ペルシャ結びはシングルノットの事ですか?

いいえ、よく混同されますが別の概念です。ペルシャ結びの多くはダブルノットです。

高いペルシャ絨毯と安いペルシャ絨毯は何が違うのですか

素材、織り、希少性、間に入る業者の数などです。なお、品質とは必ずしも比例しません。


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ペルシャ絨毯の基礎知識


ペルシャ絨毯の選び方と使い方