キリムとは、西アジアを中心に織られる毛足のない織物です。遊牧生活で使われるキリムは非常に丈夫で耐久性に優れ、美しい色模様は長く使うほどに味わいを増します。部族ごとに特徴の異なるキリムは手作業で時間をかけて織り上げられ、1枚1枚がユニークです。
心に響くキリムを見つけ、末永く使い続ける−それは限りある自然を大切にする試みでもあり、極上の贅沢でもあります。
キリムの起源は絨毯よりも古く、遊牧生活の中で生まれたと考えられています。毛足のないキリムは敷物としてはもちろん、遊牧生活のあらゆるシーンで使われてきました。テントの端に重ねた寝具はキリムで覆って壁となり、入口に垂らしたキリムはドアになります。食事には長いキリムが食卓として敷かれ、小さなキリムからは保存袋や背あてクッションが作られます。小さくたためるキリムは持ち運びに便利で、いざという時にはお金に代わる大切な財産でもあります。
貴重な収入源でもあるキリムは美しく織りが良いほどその価値も高く、卓越した織り手は家族に富と地位をもたらします。お客様を迎えるときにはとりわけ華やかなキリムを敷き詰めてテントを飾り、もてなしの心を表します。美しいキリムを織ることは女性たちの腕の見せどころでもあり、花嫁道具としても重要な役割を担っています。
きつく紡いだウールでしっかりと織り上げられるキリムは本当に長持ちです。堅牢なキリムは地面に敷いて靴で踏み、川で洗って炎天下で乾かすという酷使に耐えながら、ざらりとした手触りはなめらかに育ち、鮮やかな色彩は褪めてより美しさを増します。長年使って擦り切れたり穴が開いても補修をしたり小さく形を変えたりして使い続け、無為に捨てられることは決してありません。
キリムには大自然の恵みを大切に使う遊牧生活の知恵が詰まっています。手作業で織り上げるキリムは決して安価ではありませんが、長く使えて買い替えの必要がないため実は経済的にも優れています。大好きな色模様を毎日心行くまで楽しみ、詰まった思い出と共に次の世代に渡してゆく・・そんな使い方ができるキリムは、私たちに大切な価値観を思い出させてくれます。
ホームページ掲載中のキリムは、名古屋市の店舗でご覧いただけます。ご予約は不要ですので、お近くの方はぜひお気軽にお立ち寄りくださいね。
名古屋市千種区山門町1‐47‐2 TEL:052-763-2656
営業時間 11時ー18時 月・火定休
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