ペルシャ絨毯　ヴィンテージ/オールド

品番　cp21277
品名　ペルシャ絨毯（オールド）
サイズ　約207×140ｃｍ厚さ1ｃｍ強
※サイズはフサを含みません
素材　ウール、縦糸コットン
織り　手織り
原産国　イラン、マラエル産
送料　無料
価格　223,000円（税込）

藍色の枠に囲まれて、照るように広がる淡いオレンジ。暁を思わせる明るさを背に花々は所狭しと咲き茂り、散りばめられた花びらの青みが露のように艶めいて見えます。

イラン西部のハマダン州に点在する町や村の家庭では古くから絨毯が織り継がれ、数多くのペルシャ絨毯がハマダン産の名で世に出されています。中でも品質に優れ、デザインに特徴のある絨毯はそれを織る土地の名前で区別され、優美な文様で知られるマラエルの村もその一つです。

1970年代にマラエルの村で織られたこの絨毯は、花々の配置やくにゃりと垂れるやわらかな茎の形が特徴を表す一方幾何学的な構成は影を潜め、生き生きとした花々の表現はほど近いサルーグやジョーザン村の影響を感じさせます。

中央にはメダリオンの代わりに小さな丸い花が配され、そこから十字に咲き出した花の束を中心に無数の花房が所狭しと萌え茂っています。それぞれの束を繋ぐ蔓や格子はなく一見無秩序に見える花々ですが、よく見ると上下左右の対称性が守られ、とりどりの形に共通するしなやかな茎が縦横のゆらりとした流れを生み出しています。

ひとつひとつの葉や花びらはこげ茶や青の輪郭線で縁取られ、くっきりとした形を浮かべています。ときに方形を組み合わせて描かれるほどに様式化されながらも、植物は多様な形と無作為な揺らぎをそこここに含んで、生き生きとした抑揚と自然なやわらかみをたたえています。

色彩は時の流れとともにはらりと褪めて、独特な魅力をまとわせています。織りあがりにはさぞ鮮やかだった赤い地色はほの白い朱に和らぎ、光の加減でオレンジ色を広げる淡く明るい色彩にところどころ残る濃い赤みがしっとりと艶めいて見えます。文様の随所に差された濃淡のピンクや黄色はほの渋い白や薄茶に変化して、濃く残る藍と共に不思議な透明感を生み出しています。

細やかに織り詰められた毛足はしっかりと重なりあい、素朴な毛並みは薄手ながらもほっこりとしたボリュームを感じさせます。毛並みを撫でるとよく馴染んだなめらかな手触りと刈り込みの仄かな起伏とともに、小さく毛が沈んだ部分が散らばるのに気が付きます。これは穴や経年による傷みではなく縦糸の縛り目が毛並みに影響したもので、家庭織り絨毯にしばしば見られる特徴のひとつです。