なめらかに組まれた方形のひとつひとつに宿る、砂漠の日常と少し不思議な景色。茶にえんじ、青の入り交ざる色彩は温かみと爽やかさを溶け合わせ、グレーを帯びた落ち着いた色調の中にユニークなモチーフの世界を織り成します。
羊毛の明るいベージュに囲まれて、城壁とその内部のように積み上げられた方形は、羊毛色の濃淡にえんじに青、静かな緑をリズミカルに並べます。染め色の多くはほんのりとグレーを含み、縞模様や市松の隙間にも羊毛の褐色を覗かせる色彩は全体の色調をまろやかに抑えながら、上の方に散らばらるより鮮やかなえんじ、艶めく藍にモチーフの軽やかな黄色がより生き生きと浮かび上がって見えます。
幾何学模様や抽象模様の間には女の子やとりどりの動植物が織り込まれ、中でも木を挟んで向かい合う黄色の鳥や、西と東を一度に眺める双頭の鳥がそこここで見る者の目を捉えます。