詩を愛するペルシャの人々が最も好むのは愛の歌。砂漠を彷徨うマジュヌーンとその恋人レイリーの物語は、東方のロミオとジュリエットとも言われています。
まろやかに明るい羊毛のベージュをつやつやと照らすような色むらのさざ波。かすかな赤みと黄色み、薄い栗色の流れの中で濃くゆらりと浮かぶ墨色やこげ茶のすじは、素朴な毛色に白さと艶めきを感じさせます。
大地の広がりを思わせる織り地の上下に織り込まれた女の子と男の子は、それぞれに2頭のヤギを従えて手を広げて踊っています。藍と緑、薄いオレンジの染め糸で細やかに描かれた小さな姿は、明るく陽に照る毛並みの中で蜃気楼のようにおぼろげです。
毛足は一本ずつのまとまりを残しながらも、ふかりと先をほぐしてなじみあっています。