ベージュより濃く渋く、栗色と呼ぶには明るい薄茶色の毛並みは、黄もこげ茶も、グレーの濃淡も細やかに重ね合わせた遠い砂漠を眺めるようです。
かすかなグラデーションが揺れる大地には双子の山が浮かべられ、居心地の良さを競うような赤と黄色の大木がはるかな空の鳥たちを誘っています。
ときに毛並みの陰影を光に艶めかせながらも、素朴な地色は賑やかな方形模様をくっきりと浮かび上がらせます。自然な毛色をかすかに染めた静かな薄茶を背に、羊毛の濃いグレーやこげ茶、染め糸の黄やピンク、鮮やかに散らばる赤はうきうきとした抑揚を刻みます。ときにただなめらかに色をたたえ、ときに市松や縞模様を描く景色はヤギや大小の植物をそこここに織り込み、不規則でユニークな色や形のリズムが遊牧の日々を物語るようです。