しっとりと凝縮して深くこごり、次にはゆらりと拡散して淡く透ける柘榴の実の色。赤紫からえんじへ、そして明るくもほの渋い赤へとたゆみなく移ろい変化する霧模様の中に、幻のように美しい無数の植物がそよいでいます。
たおやかな花々は細い枝葉を左右に広げ、ひし形の可憐な花冠を並べています。こげ茶にオレンジ、薄いピンクの糸色は、それぞれに細やかな濃淡の色むらを含み、ときにふわりと明るく輪郭を照らし、ときに背景に溶け消えながら、流れに揺らめく水草のように浮き沈みしています。
一面を埋めるモチーフはグラデーションの混沌の中で、よく見るとそこここに小さな芽が生え出たり、柔軟な茎が別の枝に実をつけたりと気まぐれとも必然ともわからない、不思議に自然な変化が散りばめられています。