染めていない羊毛の濃淡の糸色が描く枠模様と流れるような点描模様の中に、6本の樹木とヤギたちがきらりと艶やかな赤みを放っています。
ほの黄色いベージュに茶やグレーが淡い栗色に溶け合う毛色は濃い枠色では砂目のように細やかに、中央ではゆったりと斑点を描きながら濃く淡く重なり、色彩の繊細な抑揚とともに梢を揺らす風のような美しい流れを揺蕩わせています。
毛足はそれぞれの束を残しながらもふっかりと馴染みあい、ほこほこと気持ちのいい毛並みを立ち上げています。充実して斜め上を向いて重なり合う糸はやんわりと空気を含んだような弾力をたたえ、撫でると安定した手ごたえの上で一本ずつの毛先がころころと手のひらをころがります。表面に指を立てるとふこりと軽く沈んですぐ戻り、足を乗せるとしっとりと押し沈みます。