淡く澄んだ縞模様に散らばる星のかけらは、ころころと演奏されたモーツアルトのピアノの様に無邪気なきらめきを浮かべます。明るい夜の空色にミントグリーン、オレンジの色濃く溶けるサーモンピンクの帯はそれぞれにふんわりと濃淡の色むらを空気のように混ぜ込みながら、なめらかな毛艶をまとっています。
五線譜の音符を思わせる一面のモチーフは植物や方形、星や花を表すダイヤ模様の細やかな輪郭をときに旋律のように並べ、ときに氷のように細かく砕いてちらちらと可憐な、流れるリズムを繰り返していきます。
色の層の境目はぱらりと細かな点描でぼかされていますが、上の方では隣り合う地色に互いの糸色を入り込ませていた配色は、下の方では次第に色数を増やし、自由でカラフルな星のヴェールを浮かべています。
毛足は一本ずつの細い束を残したり、ふかりとほぐしてなめらかな一体感をたたえたりと糸色によって異なる風合いを見せながら、どれも密集してふっくらと充実した厚みを持ち上げています。