朝露のきらめくみずみずしい草原を背に、一面を埋め尽くす無数の色の四角形。
縦横の縞模様に輝く星空、ヤギに花に記号と色に形にまずは目移りする視線は、次第にその色彩の繊細さ、題材と表現の多様さに絵画を眺める感慨や発見の楽しみに満たされているのに気が付きます。
陽の光を思わせる明るい緑は若草色からビリジアンまでの染めの濃淡と色調の揺らめきに羊毛のほの渋い茶色みをそこここに透け出して、震えるように細やかな色むらを重ねています。染めむらのほの白い点やちらちらと照る毛艶が黄緑の印象を与える緑は上の方ですいと深い緑に入れ替わり、モチーフの背後で漠然と遠ざかっていく光景を感じます。
赤、黄、藍がアクセントを描く方形は染めていない茶やベージュの羊毛色や、水に溶かしたような空色、ココア色に沈むえんじとカラフルな中にデリケートな、まろやかな中間色が品とバランスをもたらしています。