えんじから緑へ、若草色から茜色へ。刻々と変化しながら大地を染める夕映えの赤に、植物の香りが漂ってきそうな空気を感じる緑。ゆったりと重なる色帯の中央には涼やかな青がひとすじ、青空のようにくっきりと横たわっています。
染めむらの濃淡や数色の色糸を織り混ぜた色彩の帯は、上の方のえんじと濃い緑を始まりに明るい赤、軽やかな緑と変化を繰り返し、カラフルだけれど不思議な調和を響かせる和音のような、独特な色世界を広げています。
色帯が切り替わる境目は点描状にぼかされ、時には白糸が点描を担って明るいアクセントを加えています。上下の端はそれぞれに濃淡の赤と緑がひと目置きに市松状に織り合わされ、遠目には二つの色彩が重なり合って茶やこげ茶が加わっているように見えます。