さらりと明るい赤地に並ぶ、ぽっそり大きな動物模様。大らかな織り段の流れに乗って緩やかな波を描くモチーフは、ヤギともヒツジとも決めがたい長い体に大きな足、くるりと巻いた尻尾を従えて西に東に一列置きに、ゆったりとすれ違ってゆきます。
軽さを含んだまろやかな地色は、一本一本の糸が抱きこむ染めむらの淡いオレンジに朗らかに照らされると思えば、不意に微かなピンクが漂い、染めの濃淡と毛並みの表情、陽光の照り返しが繊細な抑揚を重ねています。
白と濃色の輪郭で囲まれた動物たちはそこここで少しずつ配色を変え、こげ茶にちらりと藍を混ぜるトリオやもこもことした白をくっきりと光らせる3頭を交え、それぞれに個性をを感じさせます。
毛足は一本ずつのまとまりを残しながらもふさりと半分ほど先をほぐし、ほこほこと重なり合いながらやわらかな毛並みを形成しています。