夜気の漂うようなひっそりとした藍に、照らされたように明るい白とピンクのひし形模様。それぞれの色彩の中には少しずつ形を違えた薔薇の花が整然と並び、4匹のヤギが宝物のように織り込められています。
ケルマンシャー地方の小さな町・ヘルシンで、1960〜70年ごろにクルド族によって織られたキリムです。当初はもっと細長いキリムだったのですが、上下共に裁断して枠模様が新たに織り直されています（部分写真・右上/ヤギの下の緑と赤の線から下が新たに織り直された部分。上下ともにモチーフのつじつまを合わせるために必要な部分のみを良く似た色糸で織り直してあります。一目見ても気がつかないほどですが、触って観察すると目が新しく、色も褪せていないのが分かります。）また、全体に３，４か所ほど周囲に半ば同化した、古い補修跡が見られます。

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