抽象具象の花々がゆらりと漂うやわらかなピンクを背景に、３つの大きなひし形のメダリオンが流れるように連なっています。
淡い色彩に包まれながらギザギザの輪郭を入れ子状に重ねるひし形は壮麗な線の集まりと周囲との境界をくっきりと濃い縁どりで分け、堂々とした存在感を表しています。
同じく濃い輪郭で描き出された枠模様はこれも直線を組み合わせた花と波の連続模様でかっちりと織り地を囲み、淡い中間色の中で明快なデザインを浮かべあげています。
スマックキリムとは、縦糸に追加の色糸をくるくると巻きつけながら織り進め、モチーフを形作る技法で織りあげられたキリムです。一重の糸で構成される平織りに比べて非常に時間がかかり、熟練した技術を要するものですが、織りあがりは繊細で美しく、とても丈夫な仕上がりとなります。色糸が追加されるため織り地に厚みが生まれ、表面は均一でモチーフの間の隙間（スリット）はまったくありません。