* オールドキリム * | ||||||||||||||
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(※)織り地はしっかりとした厚みとともにてろりとしたしなやかさを持ち、端をつかんで持ち上げてみると糸の重みの中にほのかな弾力を感じます。織り上がり当初は赤もピンクも鮮やかなカラフルな色彩だったと思われますが、何度も洗われるうちに彩度を落とし、馴染んだやわらかな表情をたたえています。枠模様や中央の四つ角にあるベージュ部分はくっきりとしていた明るさを染め糸からにじんだ染料でしっとりとぼかされ、遠目にはグレーに近いほどの色味に浸されています。六角形のえんじ部分には帯状にひとすじの色濃い赤が流れ、端部分にもそこここに赤や、逆に薄いピンクが混ざっていますが、これは当初は似た色調だった幾種かの赤糸の染めの違いが、時による色彩の変化の中に現れ出たものです。 洗われた跡や多少の汚れは見られるものの、穴も傷みもほとんどなく、波打ちも残るほどに当初の状態を保っているのは、祝い事などの来客時以外には大切に仕舞いこまれていたためと思われます。表面の手触りは糸の硬いちくちくはこなれていますが細かな毛羽立ちの名残りがあり、織り目もまだやわらかみを残しています。フサ部分には多少のこすれが見られますが、ほどけないように何箇所か編み直した以外にはもとの形を残してあります。 ラグとして床に飾るのはもちろん、タペストリーとして壁にはっても見ごたえのある一枚。昔の花嫁道具が今に生き返るような、褪せない美しさを感じるオールドキリムです。 |
ひっそりと染み、和らいだ枠色が仄かに照らす、花のつぼみを泳がせた大きなえんじの六角形。鮮やかさをはらりと落とした色彩の中で黄や水色は生き生きと若さを保ち、帯のように残る赤みが艶やかな明るさを灯しています。
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