濃くなめらかなえんじの帯に引き締められて、晴れ晴れとした色と形を心おきなく広げる文様。星模様がきらきらと流れる白い格子は3色のサソリ模様をぱっちりと組み上げ、爽やかな空色も濃くほの渋いピンクも鮮やかなコントラストを瞬かせます。
イラン南部、イスファハーンの少し北の地域で織られるこのペルシャ絨毯は、遊牧民の生粋の伝統織りの一つでヤラメ絨毯と呼ばれます。イラク国境付近のルリスタン地方から南はシーラーズの近くに住むイランで最も古い民族のひとつルリ（ローリー）族は、周辺のカシュガイ族らにも強い影響を与えながら現代も美しく特徴的な伝承模様を織り続けています。
直線的なメダリオンデザインでもよく知られるヤラメ絨毯ですが、ひし形の文様を小さく並べるこの格子模様ではヤラメ独自の特徴がより際立ち、鮮やかな色彩と共に愛されています。
密に織り詰められ、なめらかに馴染みあう毛足は濃くしっとりとした色彩を放ち、ひとつひとつの文様の細やかな輪郭をくっきりと刻み出しています。