明々と冴えるなめらかな赤。しっとりと染まった糸の濃く揺るぎない緋色は、一面に咲く花々の青や緑を逆光の影に溶け合わせ、ひし形に広がるぱらりと可憐な輪郭を強調します。
藍色のメダリオンの内も外も埋めつくす十字に組まれた花束は変化に富んだ豊かなバリエーションを見せ、優雅な様式美を誇りながらときに重なるほどに寄り、ときにゆったり隙間を広げ、水に浮く花びらめいた不思議に飄々とした風情をたたえています。
古都イスファハーンの北、メイメーの村で織られたペルシャ絨毯です。サファヴィー朝以前、1600年代からの歴史を持つこの地域の絨毯は、ひし形の花模様を主軸とする美しく特徴的なデザインによりペルシャ絨毯史に重要な足跡を刻みながら、完成された伝統文様を現在も織り続けることにより際立つ存在感を放っています。
この地方の中心町・ジョーシャガンの名でより広く知られつつ、メイメーの絨毯は近隣では少数派のペルシャ方式の結び目とやわらかな糸質、そしてとりわけ繊細な仕上がりにより、ジョーシャガン絨毯の中でも高品質の「メイメー産」として区別され、一線を画しています。