熟しながらもほのかな淡さの下りるえんじに揺れてきらめく青いサソリ。夜の濃さを深める藍に、ときにゆらりと光をたたえる青はガラスのように艶めいて、オレンジが静かな明るさで照らしています。
1960年代に織られて使われていた、クルド族のキリムです。当初はもっとずっと長かったものを傷んだ部分を除きながら裁断し、下の枠模様を織り足して整えられています（部分写真最下段：枠模様との境界のこげ茶色のギザギザ模様の部分から下の端まで新しく織り直され、縦糸は出し直されています。オリジナルとよく似た糸が使用され、また補修されてから少し時間が経っているため遠目からはわかりませんが、近くで見て触ってみるとまだ使い込まれていない目の凸凹がよくわかります。）
コットンの縦糸に太めの横糸で織り上げられたもので、ゆったりとした織り目が踏み込まれてしっとりとよく締まり、厚みのある丈夫な織り地に仕上がっています。