淡い黄ベージュに調和しながら、やさしい赤みを重ねるピンクに紫。羊毛色のこげ茶はちらちらと素朴な文様を刻み、やわらかなブルーグレーがアクセントを添えています。
イラン北西部、アゼルバイジャン地方で織られたオールドキリムです。1950年代に織られたというこの古いキリムは、当初はもっとずっと長かったものを傷んだ部分を除きながら裁断して短くしたものです。コットンの縦糸に中細のウールを使用して比較的ゆったりとした構成で織りあげられていますが、長年の間にしっかりと踏み込まれ、織り目はぴたりと締まって馴染みあっています。織り地は薄手ながらもしなやかで丈夫な質感を持ち、両端の飾り織り部分とモチーフ部分の裏面に渡された余分な糸がその部分だけ厚みを加え、重みとともに全体を床に落ち着かせます。