流れる色むらがつやつやと揺れるベージュの枠に囲まれて、次々に移りかわってゆく小さな方形の景色。東へ東へと歩いてゆくヤギたちの間には小川や星や植物、そこここに散らばる水色の空が、抽象具象のモチーフを浮かべています。
濃淡の染めむらが透明感をたたえる赤に、さらりとマットな褪めたえんじ、グレーを含んでなおきらめくような水色と、とりどりの糸色は無造作に組み合わされながらもどれも羊毛の色むらを透かし出し、ゆったりと共通する時の流れを感じさせます。
毛足は染め色ごとに細く太く風合いを変えて素朴な毛並みをなじませながらも、ほっこりと密集して充実した厚みをたたえています。立ち上がった毛足がやわらかな弾力を与える表面は指を立てるとふこりとへこんですぐ戻り、手のひらで押してみるとやんわりと沈みます。