ほんのりと黄色みのかったベージュにいちめんに入り混ざる茶やグレーの色むらのすじ。羊毛の自然な糸色が描く流れるような霧模様の中に、12個の小さな方形がやわらかに姿を浮かべています。
緑、赤、からし色にピンクと穏やかに取り合わされた染め糸はどれもかすかな白を含んでチョークのようにほの淡く、万華鏡のようにそれぞれに似ても異なるモチーフを花開かせています。
ときにさざ波のように切れ切れに揺れ、ときに点描のような細かな濃淡が天の川を形成する繊細なグラデーションは、光の加減でさらりと明るい象牙色にも、色むらの茶に埋もれそうなこくりと濃いベージュにも変化します。
方形模様から離れて右下の端には赤糸でVの字の形が織り込まれ、植物を表すモチーフとも、織り手が何らかの意味を込めたペルシャ語の数字の「７」とも思われます。