凝縮した濃さに照らされて明々と映えるルビーの赤。光と闇の境で輝く夕映えの真ん中で残像のように少女が踊り、昼と夜のヤギがそれぞれの端から眺めています。
しっとりと染まった糸は時に芯まで赤く燃えるような鮮やかさを放ち、ときにえんじの濃さにこくりと沈み、震える染めむらの濃淡を入り混ぜています。
上の端でえんじから赤へ明暗を切り替える糸色は中央を境に熟れたように深みを増し、黒にも見える濃い赤紫のすじを幾重にもたなびかせています。
毛並みはそれぞれのまとまりを残して長くたっぷりと織り込まれ、立ち上がって豊かな厚みを持ち上げています。もこもこと素朴な糸は時折手紡ぎ糸特有のくるん！と強く巻いた糸を織り混ぜ、表面を押すとふっこりと押し沈み、つかめそうな毛並の間に指を入れると第一関節まで隠れます。