深くしっとりとしながらなお鮮やかな、色の要素を凝縮したような艶やかな赤。
照るような赤みとかすかなピンクの影、ほの黒いほどの濃さが細かに入り混じり、ひたひたとした色むらをたたえる中には5対のヤギと植物が、それぞれにちぎり絵のようにぽっそりとした輪郭の明るい黄色を浮かべています。
1頭だけ藍色の糸で織り出された中央のヤギは赤とのコントラストの中でより濃くミステリアスに浮かび、ころんとかわいらしいヤギたちの中で狼のような精悍な印象を与えています。
それぞれのまとまりの残る毛足は斜め上を向いて立ち上がり、ほっこりとした毛並みを重ねています。表面を指で押すとふこりと沈み、撫でると刈り込みの素朴な起伏の中でぽそぽそとやわらかな毛足が手のひらを転がります。