藍に赤茶、ブルーグレーの色濃い窓の内側で、揺れるように艶やかな象牙色のフィールド。咲き誇る花々は明るい光の中に生き生きと姿を現し、華やかな景色はアーモンド形の美しいメダリオンに収束されます。
イラン北西部の町、ビジャーで織られたオールドペルシャ絨毯です。クルド族の住む町ビジャーは、小さくも古くから秀逸なペルシャ絨毯の産地として名を知られています。高い技術と芸術性、良質な素材と共にとりわけ強い構成を特徴とし、きつく結んだ色糸に太い横糸を通し、重い鉄櫛で詰め込む堅牢な織り地は「鉄の絨毯」と呼ばれるほどです。
1980年代に織られたこの絨毯もまた、しっとりと詰んだビロードのような毛並み、重くしなやかな織り地にビジャーならではの腰の強さを誇っています。1平方センチあたり約36目のペースで精密に織り込まれた毛足は濃くたっぷりと立ち上がり、細やかな毛並みは溶け合うようによく馴染んでいます。