くるりと巻いた三日月型の葉と丸く開いた小さな花。ひし形に組み合わせた可憐な花格子はヘラティと呼ばれ、その大きさや形状は産地によって異なります。
アンティーク時代から工房織りで培われてきた伝統と技術を誇るイラン東部の町、ムードのペルシャ絨毯は、やわらかな毛並みと精密で堅牢な織り、高度に様式化された特徴的な文様により、高く評価されています。とりわけ密度の濃いヘラティ模様で知られ、ときに一面を埋め尽くす繊細な文様は特有の美しさとともに、空間を広げて見せる独特な効果が愛されています。
縦糸には丈夫なコットンが使用され、細かな織り目に詰められた細い毛足の濃く充実した毛並みがほっこりと腰のある厚みをたたえます。1センチ平方あたり平均36目の密度を誇る織り目はペルシャ絨毯の中でも特に細やかで、なめらかに馴染みあう毛足が繰り返される文様と繊細な色糸の切り替えを美しく描き出しています。
花芯や葉の一部、ひし形の輪郭などデザインにより部分を選びながらもモチーフの一部にはシルク糸が織り込まれ、ウールとは異質な明るさが陽を受けてきらりと艶めきを放ちます。