煙るようにほの白く、粉ふくような赤茶色。なめらかな色彩の中には藍色の枠模様がゆったりと大らかに、そして王冠のように華やかな輪郭を浮かべ、中央には四つのひし形のメダリオンが、細やかな羊の角のかぎ模様に美しく縁どられて並んでいます。
堅牢なキリムの織り手としても名の挙がるアフシャール族によって30年ほど前に織られたこの絨毯は、彼らのキリムを彷彿とさせる独特のモチーフを伸びやかに織り成しています。
かっちりと直線を多用して連続模様や枠組みを描く余白の多いデザインは、堂々とした威厳と風のような鷹揚さを思わせます。上の方にひとすじ、淡い赤紫の帯がアクセントのように漂うほかには色むらも少ない地色は茶も藍も羊毛の白もほっこりとなめらかで、きらめくように散らばる花や星、歌うように揺れる枠模様や細い直線状の蔓模様を夢見心地にくっきりと、きれいに刻み出しています。
一定の毛色の中に時折すいと、濃くすじが刻まれて見えるのは毛並みの流れによるものですが、触れてみると意外なほどふっかりと、ボリュームのある手ごたえに驚かされます。