深い藍に揺れて漂う夜の花。とりどりの形や配色、ときに大小も入り混ぜてその魅力を競う花々は暗い背景を浮き草のように埋め尽くし、夢見るように瞬いています。
えんじと藍の堂々とした重みに囲われた無数の花や植物は、庭園に繁る草花のようにかっちりと枠に組まれながら生き生きと生を歌っています。
キリムのモチーフを髣髴とさせる直線を駆使した３つのひし形のメダリオンは、強さを象徴するサソリやヒツジの角のぎざぎざをくっきりと鋭角に描き出し、これも長短の直線で組みあげたフィールドや枠模様のかっちりとした輪郭とともに明瞭な印象を形作っています。
丸い花模様から縁の細長い命の木に至るまで律儀な左右対称性に驚かされるのですが、よく見るといつの間にかの変調やところどころにはさまれた思わぬ変化に気づかされ、意外な遊び心に目を見張らされます。
えんじ部分の空間には幾本かの植物がぱらりと織り込まれていますが、その間の数箇所にペルシャ数字で「４４」と織り出されています。