うぐいす色とも抹茶色とも決めがたい艶のあるまろやかな緑に、鈴の音を響かせるかのようにいちめんに咲き誇る小さく可憐な花また花。
織り地の中央で天地を結ぶ細長い幹から、広げた翼のように左右に伸びるこれも細く長い枝。その一本一本から釣り鐘のように下がる小さな花は青に紫、白に空色とちらちらと変遷し、明滅する星のように愛らしく密やかです。
織り地いっぱいに広がる花枝の端には時おり小さなヤギや別の植物がちらりと織り込まれ、春を謳歌する花の木の周りの賑やかな大地を暗示させます。
細めの毛足はやわらかにも腰があり、一本ずつのまとまりをよく残しています。密集して立ち上がった糸は詰んで安定した厚みをたたえ、すっきりと刈り込まれながらも充実したボリュームを感じます。表面に指を立てるとくにゅりとへこみ、歩くとしっとりとやわらかに押し沈みます。