- ギャッベの色 -
原初、ギャッベは染色されておらず動物の毛の色そのままに織られていました。遊牧生活の旅の中、いろいろな部族と出会い交流する中、「色」と出会い、染色方法を見につけ、現在の鮮やかで美しい草木染の技法に至ったといいます。
ギャッベの色は、全て天然染料で染められています。素材はざくろやサフラン、ぶどうの葉などそれぞれの季節の自然に豊富に見られる植物で、深く味わいのある、それでいて非常に鮮やかな色を特徴としています。
「アブラッシュ」というのは草木染特有の色むらのことを指すのですが、この色むらこそギャッベ絨毯の美しさの最たるものでしょう。水のたゆたう様な青のグラデーション、赤一色の夕日のギャッベの目を奪われるような深み、そして草原をそのまま写し取ったような緑。大自然の恵みを人の手で美しく昇華し、凝縮させたもの-それがギャッベの色なのです。
遊牧民が一番良く使う色は赤、次に黄色、そして青、緑。それぞれの色には意味がこめられており、それを知った上で眺めるギャッベはまたちがう面白さを含んでいます。
例えば、黄色。黄色はイランの砂漠の色です。砂漠とは遊牧民にとっての生活の場、彼らの「故郷」そのものです。砂漠が干上がり、羊たちの餌を求めて緑多いザクロス山中で夏を過ごすとき、黄色いギャッベが織られることが多いといいます。故郷の砂漠に思いを馳せる、懐かしい、少し切ない気持ちがギャッベの黄色の中に凝縮しているような気がします。
そして、緑。緑は草木の緑。水があり、羊の食べる草がある、生命にあふれた土地を示しています。乾いた砂漠から山に向かうとき、凍てついた山から故郷の砂漠に戻るとき、緑が少しずつ顔を出し、広がってくるにつれて旅の一団もわくわくと活気を帯びてくるのです。
青は空の色、水のような純粋さ、そして荘厳。夜空を切り取ったような、吸い込まれるような星空のギャッベ、または風のない日の青い青い砂漠の空を眺めるときの、心を洗われる様な感覚をもたらすギャッベ・・・そこには青という色のもつ洗い清めるようなけがれなさがひそんでいるようです。
赤のギャッベは、見る人にエネルギーを与えてくれるような気がします。健康な、元気な子どもの血行のいいほっぺの色のこの赤はすなわち、元気のよさや躍動感をあらわしています。うれしいことがあったときの気持ち、、楽しい、わくわくとした気持ちが織り込められている、そんなパワーを感じるのです。