煌めくような点描に囲まれ、艶やかな赤を満たすメダリオンの花型は、よく見るとくにゃりと曲がった一筆の線の重なりによって描かれています。マットな藍を背景に一面を埋める植物は上下左右対象に正確に配置されながら、そのデザインはむしろ自然な、豊かな具象性を誇っています。
イラン西部の絨毯の町、ハマダン近郊のダルジャジンで1980年代に織られたオールド絨毯です。コットンのたて糸に綿密に織り詰められた毛足は1平方センチ辺り30近くの細かな織り目に密集し、ほってりと重みと腰のある丈夫な手ごたえを湛えています。
メダリオンとフィールドを囲むコーナーの輪郭、枠の連続模様では縁に点状の装飾をあしらった蔓めいた線がくねくねと曲がりながら一筆書きのように枠組みを描き、文様にエレガントな主題を与えています。
空間を隙間なく埋める無数の花や葉は、実際の植物を思わせる写実性を保ちながら幾種ものバリエーションとしてデザイン化され、赤や水色の縁取りで背景からくっきりと浮き上げられて美しい装飾に昇華しています。